日本百名城 35 石垣の博物館・金沢城
『 加賀百万石金沢城の石垣めぐり 』
金沢城は、石垣の博物館とか言われますが、これまでの登城では時間がなく石垣巡りができていませんで
したので、今回は最短の城内ルートと城外周の半分を廻りました。
金沢城の石垣は、多種多様な構築方法を採用しておりますが、主な石積みの技法は次のとおりです。
【野面積み】
自然の石や粗割りしただけの石を用いて積む技法で、東の丸周辺など古い時期の石垣に見ることができます。
【打ち込みハギ】
形の整った割石を用いて積む技法で、二の丸などの郭の外周などに見ることができます。
【切り込みハギ】
割石をさらに加工した切石を用いて、隙間なく積む技法で出入口など重要な部分の石垣に見ることができます。
【金沢城石垣巡りルート図】 (登城日:平成24年8月30日)
<画像はクリックで拡大します>
① 石川門石垣
この石垣は、右側は「切り込みハギ」、左側は「打ち込みハギ」の技法になっています。同じ場所で積み方をした珍しい例で、1765年の改修時のものと考えられています。
② 内堀石垣(鶴の丸付近)
この内堀は、1631年の大火後、二の丸を守る堀として造られたといわれ、平成11年から12年にかけ、菱櫓や五十間長屋などとともに復元されています。
③ 菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓石垣
この位置から見える三の丸側が「打ち込みハギ」、裏手の二の丸側が「切り込みハギ」となっている。「打ち込みハギ」の多くは郭の外周などに、「切り込みハギ」は出入口など重要な場所によく見られます。
④ 二の丸北面石垣
この付近の石垣は、形や大きさを揃えた割石が積まれています。「打ち込みハギ」の中でも最も完成されたものと言われており、城内でも屈指の石垣と言われているそうです。
⑤ 土橋門石垣
この石垣は「切り込みハギ」の技術が用いられ、土門橋の土台となっていました。石垣に組み込まれた六角形の石(亀甲石)は、水に親しむ亀を表したもので、防火の願いが込められているそうです。
⑥ 数奇屋敷石垣
石積みの技法は、石の表面を長方形に仕上げた「切り込みハギ」で、刻印が見られる石垣は創建時のものです。刻印は石を切り出す時の作業分担を示すために付けられたと言われます。
⑦ 戌亥櫓石垣
この石垣は「打ち込みハギ」の積み方をしていますが、石の隙間に平らな石をはめ込み、「切り込みハギ」のように見せる技法が用いられています。長い年月の間に石が抜け落ちていますが、当時の技法を見ることができます。
⑧ 三十間長屋石垣
この石垣の積み方は「切り込みハギ」の技法で積まれていますが、表面の縁取りだけをきれいに揃え、内側を粗いままにしておく「金場取り残し積み」という技法が用いられています。
⑨ 鉄門石垣
「切り込みハギ」の技法は、城の重要な部分に用いられ、本丸への入口となるここ鉄門の石垣にも、「切り込みハギ」が見られます。石の表面を多角形に加工した優れたデザインで丁寧な造りになっています。
⑩ 東の丸北面石垣
この石垣は、城内で最も古い技法が用いられており、金沢城の初期の姿を伝える数少ない貴重なものです。自然石や粗割りしただけの石を緩い勾配で積み上げた「野面積み」になっています。
『その他城外周の石垣』
【大手門の石垣】
この大手門は、高山右近の指導により造られたと言われています。
【東ノ丸東面の石垣】
この辺の石垣は、金沢城の初期の石垣ですから、利家公も前田慶次郎も見た石垣なのでしょうね。
【本丸南面の高石垣】
かなり高い石垣です。金沢城が平山城だとよくわかる場所です。
石垣巡りの後、金沢城に隣接する「利家公とまつの尾山神社」に行きましたので、後日、記事にしたいと思います。
ランキングに参加しています
にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます。
『戦国クイズ』
≪前回の解答≫
前回の正解:高山右近
1583年、前田利家が金沢城に入り、その直後から本格的な城づくりが始められました。キリシタン大名として知られる高山右近を招き、築城の指導をを仰いだと伝えられています。
≪本日の問題≫
<参考文献:金沢市HP>
金沢城は、石垣の博物館とか言われますが、これまでの登城では時間がなく石垣巡りができていませんで
したので、今回は最短の城内ルートと城外周の半分を廻りました。
金沢城の石垣は、多種多様な構築方法を採用しておりますが、主な石積みの技法は次のとおりです。
【野面積み】
自然の石や粗割りしただけの石を用いて積む技法で、東の丸周辺など古い時期の石垣に見ることができます。
【打ち込みハギ】
形の整った割石を用いて積む技法で、二の丸などの郭の外周などに見ることができます。
【切り込みハギ】
割石をさらに加工した切石を用いて、隙間なく積む技法で出入口など重要な部分の石垣に見ることができます。
【金沢城石垣巡りルート図】 (登城日:平成24年8月30日)
<画像はクリックで拡大します>
① 石川門石垣
この石垣は、右側は「切り込みハギ」、左側は「打ち込みハギ」の技法になっています。同じ場所で積み方をした珍しい例で、1765年の改修時のものと考えられています。
② 内堀石垣(鶴の丸付近)
この内堀は、1631年の大火後、二の丸を守る堀として造られたといわれ、平成11年から12年にかけ、菱櫓や五十間長屋などとともに復元されています。
③ 菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓石垣
この位置から見える三の丸側が「打ち込みハギ」、裏手の二の丸側が「切り込みハギ」となっている。「打ち込みハギ」の多くは郭の外周などに、「切り込みハギ」は出入口など重要な場所によく見られます。
④ 二の丸北面石垣
この付近の石垣は、形や大きさを揃えた割石が積まれています。「打ち込みハギ」の中でも最も完成されたものと言われており、城内でも屈指の石垣と言われているそうです。
⑤ 土橋門石垣
この石垣は「切り込みハギ」の技術が用いられ、土門橋の土台となっていました。石垣に組み込まれた六角形の石(亀甲石)は、水に親しむ亀を表したもので、防火の願いが込められているそうです。
⑥ 数奇屋敷石垣
石積みの技法は、石の表面を長方形に仕上げた「切り込みハギ」で、刻印が見られる石垣は創建時のものです。刻印は石を切り出す時の作業分担を示すために付けられたと言われます。
⑦ 戌亥櫓石垣
この石垣は「打ち込みハギ」の積み方をしていますが、石の隙間に平らな石をはめ込み、「切り込みハギ」のように見せる技法が用いられています。長い年月の間に石が抜け落ちていますが、当時の技法を見ることができます。
⑧ 三十間長屋石垣
この石垣の積み方は「切り込みハギ」の技法で積まれていますが、表面の縁取りだけをきれいに揃え、内側を粗いままにしておく「金場取り残し積み」という技法が用いられています。
⑨ 鉄門石垣
「切り込みハギ」の技法は、城の重要な部分に用いられ、本丸への入口となるここ鉄門の石垣にも、「切り込みハギ」が見られます。石の表面を多角形に加工した優れたデザインで丁寧な造りになっています。
⑩ 東の丸北面石垣
この石垣は、城内で最も古い技法が用いられており、金沢城の初期の姿を伝える数少ない貴重なものです。自然石や粗割りしただけの石を緩い勾配で積み上げた「野面積み」になっています。
『その他城外周の石垣』
【大手門の石垣】
この大手門は、高山右近の指導により造られたと言われています。
【東ノ丸東面の石垣】
この辺の石垣は、金沢城の初期の石垣ですから、利家公も前田慶次郎も見た石垣なのでしょうね。
【本丸南面の高石垣】
かなり高い石垣です。金沢城が平山城だとよくわかる場所です。
石垣巡りの後、金沢城に隣接する「利家公とまつの尾山神社」に行きましたので、後日、記事にしたいと思います。
ランキングに参加しています
にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます。
『戦国クイズ』
≪前回の解答≫
前回の正解:高山右近
1583年、前田利家が金沢城に入り、その直後から本格的な城づくりが始められました。キリシタン大名として知られる高山右近を招き、築城の指導をを仰いだと伝えられています。
≪本日の問題≫
<参考文献:金沢市HP>
- 関連記事
-
- 日本百名城 35 石垣の博物館・金沢城 (2012/09/24)
- 日本百名城 35 「復元が進む金沢城」 (2012/09/22)
- 百名城35 金沢城 (2009/09/20)
- 百名城34 七尾城 (2009/09/19)
スポンサーサイト
コメントの投稿
No title
なるほど。
野面積みっていう言葉は聞いたことはありましたが・・・。
石垣の技法で,時代とかわかるんですね。
またまた勉強になりました。
お城巡りの楽しみが増えました。
野面積みっていう言葉は聞いたことはありましたが・・・。
石垣の技法で,時代とかわかるんですね。
またまた勉強になりました。
お城巡りの楽しみが増えました。
No title
こんにちは
金沢城といえば優雅で芸術的な意匠
の城として認知されていますが、見た
感じ、実戦に耐えうる堅固な作りに
なっていたんですね。ブログから良く
伝わってきました。
金沢城といえば優雅で芸術的な意匠
の城として認知されていますが、見た
感じ、実戦に耐えうる堅固な作りに
なっていたんですね。ブログから良く
伝わってきました。
次席家老 さま
こんにちは、
いつもありがとうございます。
石垣を研究されている方もいらっしゃいますが、面白いでしょうね!
古い城は、殆どが野面積みですよね。 浜松城とかも…。
いつもありがとうございます。
石垣を研究されている方もいらっしゃいますが、面白いでしょうね!
古い城は、殆どが野面積みですよね。 浜松城とかも…。
tknagisa0701 さま
こんにちは、
コメントありがとうございます♪
> 金沢城といえば優雅で芸術的な意匠の城として認知されています
確かにそうだと思います。
大手堀の幅も狭いし、石垣も高くないし、攻めに対しては脆弱な城
ですよね。
他の城と違い、芸術的な美しさを見せてくれる城もいいものです。^^
コメントありがとうございます♪
> 金沢城といえば優雅で芸術的な意匠の城として認知されています
確かにそうだと思います。
大手堀の幅も狭いし、石垣も高くないし、攻めに対しては脆弱な城
ですよね。
他の城と違い、芸術的な美しさを見せてくれる城もいいものです。^^