前田慶次郎 その22 「仲裁の決裂」
戦国風流武士「前田慶次郎」その22
「仲裁の決裂」
奥州武士らの間に動揺の色が現れた。慶次郎の名を聞いてからは一層であった。
互いに顔を見合わせたり、眼と目で相談するようにも見えた。任せるつもりになったらしい、と慶次郎は推察
した。
が、突然、一人が烈しく首をふって叫んだ。
「おらァ嫌だぞ。男が一旦刀を抜いて斬り合いを始めたからには、誰様に何と言われようとも、やめることは
出来ねえだ。おまけに権右衛門は生面ア斬り裂かれているでねえか。奥州侍の意地だぁ。おらぁ聞かねぇ。
根かぎり、命かぎり、やるべえ!」
「おお、そんだらやるべえ!」
「おいらも引かねぞ!」
「よう言うた!やるべえ!」
「ええい、くそ! 死ねばよかんべえ!」
「おおさ、死ねばよかんべえ!」
ねじを巻きなおされた目覚まし時計のように、一時にきおい立って、わめき立てる。
驚くべき頑固さではあるが、勇気のたくましさは見事でもある。慶次郎はあきれたり感心したりしながら、なお
説得しようとしたが、とたんに、一人が、
「それ!さんさ時雨!」
と叫ぶと、横にさっと一列になり、慶次郎をおしつつむ隊形になって攻撃を開始した。
サンサ時雨か、茅野の雨か、
音もしもせて、濡れかかる、
ションガイナ、ションガイナ
悠長な調子で歌いながらも動きは俊敏に、柔靭自在だ。さっきの拙劣な攻防法とは別人のようであった。
昨日は、慶次郎が出奔した金沢城です。
慶次郎も見た金沢城の本丸石垣、初期の金沢城は平山城だったのですね。
石川門下の利家公、見学ルートから外れていますので、見落としがちになりますね。
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<参考文献:戦国風流武士 前田慶次郎(海音寺潮五郎暑)>
「仲裁の決裂」
奥州武士らの間に動揺の色が現れた。慶次郎の名を聞いてからは一層であった。
互いに顔を見合わせたり、眼と目で相談するようにも見えた。任せるつもりになったらしい、と慶次郎は推察
した。
が、突然、一人が烈しく首をふって叫んだ。
「おらァ嫌だぞ。男が一旦刀を抜いて斬り合いを始めたからには、誰様に何と言われようとも、やめることは
出来ねえだ。おまけに権右衛門は生面ア斬り裂かれているでねえか。奥州侍の意地だぁ。おらぁ聞かねぇ。
根かぎり、命かぎり、やるべえ!」
「おお、そんだらやるべえ!」
「おいらも引かねぞ!」
「よう言うた!やるべえ!」
「ええい、くそ! 死ねばよかんべえ!」
「おおさ、死ねばよかんべえ!」
ねじを巻きなおされた目覚まし時計のように、一時にきおい立って、わめき立てる。
驚くべき頑固さではあるが、勇気のたくましさは見事でもある。慶次郎はあきれたり感心したりしながら、なお
説得しようとしたが、とたんに、一人が、
「それ!さんさ時雨!」
と叫ぶと、横にさっと一列になり、慶次郎をおしつつむ隊形になって攻撃を開始した。
サンサ時雨か、茅野の雨か、
音もしもせて、濡れかかる、
ションガイナ、ションガイナ
悠長な調子で歌いながらも動きは俊敏に、柔靭自在だ。さっきの拙劣な攻防法とは別人のようであった。
昨日は、慶次郎が出奔した金沢城です。
慶次郎も見た金沢城の本丸石垣、初期の金沢城は平山城だったのですね。
石川門下の利家公、見学ルートから外れていますので、見落としがちになりますね。
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