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前田慶次郎 その40 「自由自在な舌頭」

戦国風流武士 「前田慶次郎」 その40

『慶次郎の自由自在な舌頭』」

相手方は一層腹を立てたが、腹は立っても、挨拶された以上、答礼はしなければならない。

「ご同慶でござる」

とぶっきらぼうに言っておいて、

「これは別の話しじゃ。貴殿は当家上杉家をいかなるお家と心得ておられるのだ」

「はて、こと新しきお尋ねでござるな。本姓は長尾、当時景虎と仰せられていた不識庵公が関東官領上杉憲

政公より御苗字と官領職を譲り受けられて上杉となられた。不識庵公は男猛絶倫、軍神毘沙門天の御再来

として、諸人の讃仰浅からず、御家中にその御手塩にかけられた勇士猛卒雲の如く、天下御当家を仰いで

武士の花の本と申していまする。ならびなき武道名誉のお家柄でござるて」

長々と講釈口調だ。

ma.前田慶次郎 11

相手はいらだった。

「ええい!それほど知りながら、貴殿のその“さしもの”の文字はなんだ!」

と、怒鳴り立てると、口々に叫ぶ。

「大武辺者とは、舌長な!」

「人もなげる“さしもの”!」

「早速引き込められよ!」

「ぐずぐず申されなば、踏み折って捨てますぞ」

「貴殿ひとりに、特に大武辺者などと書いた“さしもの”をさせては、我々は武辺者でないかの如く見えて、

誠に快くないのだ!」

慶次郎はニコリと笑った。

「大ちがい、大ちがい。それはとんでもない違いだ。拙者は長らくの浪人暮らしで誠に貧窮だ。また、妻も

いなく孤独の身の上。かれこれ不便この上もない。それで、かく“さしもの”に書いた次第」

「大不便者じゃと?」

あっけにとられると、慶次郎はすまして頷く。

「ああ、大不便者」

またやられた、勇士らはげんなりとしたが、しゃくにさわってならない。

「紛らわしい書きようはやめさっしゃい。間違いなく読めるよう、“へ”の字に濁りを打たっしゃい」

と言うと、慶次郎は、また笑って

「これこれ、そのような故実をわきまえんことを言ってはならん。すべて仮名文字はそのまま記し、読む人が

意味をくんで、濁るべきは濁って読むことに、古来書道ではなっている。それについて、面白い話がある。

さる無学の町人が堂上家に参ったところ、和歌一首したためた短冊を賜った。その下の句に“霞ぞ野べの

にほひなりけり”とあったところ、町人は“粕味噌の屁の臭ひなりけり”と読んだので、大笑いになったとい

う話。その町人は恥じ入るばかりで、各々方のように濁るべきには濁点を付けよなどとは申さなんだ。

名誉ある上杉家の勇士ともあろう者が、さような故実をわきまえぬことを・・・」

自由自在な舌頭にかけられて、勇士らは一人去り、二人去り、ついにひとりもいなくなったという。


慶次郎さん嫌われ者のようですが、友人はいたのでしょうか?

sakura 20120928

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『戦国クイズ』

≪昨日の解答≫
昨日の正解:197cm
漫画『花の慶次』で「身の丈197cmの大柄の武士」として描かれてから、体格の良い大男として描かれる事の多い慶次郎ですが、実際には身長に関する記述は存在していません。
慶次郎所有のものと思われる現存の甲冑も、他の武将の甲冑と比べて特別大きさは変わらないそうです。

≪本日の問題≫


                           <参考文献:戦国風流武士 前田慶次郎(海音寺潮五郎暑)>
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