加藤清正 Ⅱ その154
『おれが殿様が弔合戦をなさった』
光秀の首を土民らが探し出して、秀吉方に届け出た。
秀吉は、翌々日、三井寺近くでこの話を聞き、取り寄せた。
大阪城二ノ丸の秀吉

秀吉は百姓らに大枚の金子を与えて立ち去らせた後、首実検をしたが、しばらく凝視した後、ついて
いた細い杖をふりあげ
「日向よ、あろうことか、逆心を起こして、まさしき主君を討ち葬った天罰ぞ!今こそ思い知れい!」
と、ののしりながら、杖で打ち叩いた。
これは弔合戦の際の儀式であり、しなければならないことになっていたのです。
清正は側にいて、ずっと凝視していた。
善悪の応報の迅速さを最も痛切に感じていたのです。
秀吉が主君・信長の弔合戦をおこし、見事に成し遂げたことは、秀吉の喜びはいうまでもないが、家
臣らにとっても、また非常な喜びであった。
清正や福島市松(正則)のような、子飼いで、しかも血がつながっている者にとっては、言いようも
ないほどの嬉しさであった。
「右大臣様のご家来衆数あるなかで、おれが殿様が弔合戦をなさった。誰でもない、おれが殿さまだ」
と、肩を張りたい思いであり
「だから、きっとおれが殿様が右大臣様の後をついで、天下人になりなさるであろう」
とも思い、さらに
「そうなれば、おれも励みさえすれば、大名になれるぞ」
と、目もくらむような気持になった。
清正にも、市松にも、よろこびに緊張した日が続いた。
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いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
光秀の首を土民らが探し出して、秀吉方に届け出た。
秀吉は、翌々日、三井寺近くでこの話を聞き、取り寄せた。
大阪城二ノ丸の秀吉

秀吉は百姓らに大枚の金子を与えて立ち去らせた後、首実検をしたが、しばらく凝視した後、ついて
いた細い杖をふりあげ
「日向よ、あろうことか、逆心を起こして、まさしき主君を討ち葬った天罰ぞ!今こそ思い知れい!」
と、ののしりながら、杖で打ち叩いた。
これは弔合戦の際の儀式であり、しなければならないことになっていたのです。
清正は側にいて、ずっと凝視していた。
善悪の応報の迅速さを最も痛切に感じていたのです。
秀吉が主君・信長の弔合戦をおこし、見事に成し遂げたことは、秀吉の喜びはいうまでもないが、家
臣らにとっても、また非常な喜びであった。
清正や福島市松(正則)のような、子飼いで、しかも血がつながっている者にとっては、言いようも
ないほどの嬉しさであった。
「右大臣様のご家来衆数あるなかで、おれが殿様が弔合戦をなさった。誰でもない、おれが殿さまだ」
と、肩を張りたい思いであり
「だから、きっとおれが殿様が右大臣様の後をついで、天下人になりなさるであろう」
とも思い、さらに
「そうなれば、おれも励みさえすれば、大名になれるぞ」
と、目もくらむような気持になった。
清正にも、市松にも、よろこびに緊張した日が続いた。
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<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
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