加藤清正 Ⅱ その159
『勝家は長浜を所望』
清正は2日かかって姫路に帰り着き、そのまま城に上がった。
秀吉の母もねねも、大喜びで清正を迎えた。
姫路城(姫路城登城記は「こちら」です。

清正が秀吉の手紙を差し出すと、2人は読んでくれというので、読んでやった。
清州会議のこと、新しく丹波を得たこと、長浜を柴田の望みで譲ったこと、宝寺に城づくりして当分
は帰れないことなど書いてあった。
清正は詳しく説明を加えた。
「柴田殿はまたどうして、長浜を欲しがりなさったのでしょう」
と、ねねは尋ねた。
長浜は秀吉がはじめて大名になって、貰ったところです。ねねには最もなつかしい記憶の残る土地
であった。
失ったことが残念だったのです。
「柴田は殿様が弔い合戦なされたのが、先ず気に入らないのです。次には清州の評定で、大方が殿
様の申されたことが通って、自分の言い分がほんの少ししか通らなんだが、無念でならないのです。
柴田は第一の老臣であります。常の性質の人間でも、あせらんではおられぬ時であるのに、彼は意
地悪で、嫉妬深い男であるとのこと、このままでは殿さまが天下人になりなさるであろうと、肝を
入れているに相違ないのです。それ故に、近々に殿様と有無の一戦を遂げようと、いつも心に火を
焚いているのです。そうなると、北陸道からこちらへ出て来て、先ず行き当たるのは長浜のお城で
す。ここが殿様のお持城で、小一郎(秀吉の弟・秀長)様なり、誰なり、ひしとこもっていなさる
とあっては、柴田は困ります。それで長浜が欲しいと所望したのです」
と、清正は説明した。
ランキングに参加しています

いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
清正は2日かかって姫路に帰り着き、そのまま城に上がった。
秀吉の母もねねも、大喜びで清正を迎えた。
姫路城(姫路城登城記は「こちら」です。

清正が秀吉の手紙を差し出すと、2人は読んでくれというので、読んでやった。
清州会議のこと、新しく丹波を得たこと、長浜を柴田の望みで譲ったこと、宝寺に城づくりして当分
は帰れないことなど書いてあった。
清正は詳しく説明を加えた。
「柴田殿はまたどうして、長浜を欲しがりなさったのでしょう」
と、ねねは尋ねた。
長浜は秀吉がはじめて大名になって、貰ったところです。ねねには最もなつかしい記憶の残る土地
であった。
失ったことが残念だったのです。
「柴田は殿様が弔い合戦なされたのが、先ず気に入らないのです。次には清州の評定で、大方が殿
様の申されたことが通って、自分の言い分がほんの少ししか通らなんだが、無念でならないのです。
柴田は第一の老臣であります。常の性質の人間でも、あせらんではおられぬ時であるのに、彼は意
地悪で、嫉妬深い男であるとのこと、このままでは殿さまが天下人になりなさるであろうと、肝を
入れているに相違ないのです。それ故に、近々に殿様と有無の一戦を遂げようと、いつも心に火を
焚いているのです。そうなると、北陸道からこちらへ出て来て、先ず行き当たるのは長浜のお城で
す。ここが殿様のお持城で、小一郎(秀吉の弟・秀長)様なり、誰なり、ひしとこもっていなさる
とあっては、柴田は困ります。それで長浜が欲しいと所望したのです」
と、清正は説明した。
ランキングに参加しています

いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
- 関連記事
-
- 加藤清正 Ⅱ その161 (2023/06/03)
- 加藤清正 Ⅱ その160 (2023/06/02)
- 加藤清正 Ⅱ その159 (2023/06/01)
- 加藤清正 Ⅱ その158 (2023/05/31)
- 加藤清正 Ⅱ その157 (2023/05/30)
スポンサーサイト