加藤清正 Ⅱ その166
『加藤家は秀吉の縁者』
清正は奥の座敷に入ると、改めて母に帰宅のあいさつをし、城内でことづけられた巻絹と真綿を渡し、
秀吉の母の言葉を伝えた。
大政所(秀吉の生母)

「ありがたいこと」
母はいただいて、脇に置き
「ほんに、いつの間にかご無沙汰してしまいました。気にはなっていましたが、留守をしていなさる
家中のおかみ様方のことを考えますと、縁者づらしてお城に上がるのが済まぬような気がしましての。
時々はあがらなければいけませんのう」
と言った。
「それはそうですとも。縁者の端に連なっているゆえ、ご隠居様にしても、御前様(秀吉夫人・ねね)
にしても、頼みに思うてくださるのです。殿様のお留守の間は、時々どころではない、出来るだけせ
っせと上がって、お慰めなさるべきであります。威張り高ぶる心さえなければ、家中の人々も悪う思
う筈はありません」
「そうだの、そうだの」
と、うなずきながらも、お沢は虎之介の成長をまた感じていた。
『立派なことを言うようになった。立派なことを言うようになった・・・』
心づくしの料理をならべて、祝宴がはじまった。
供をして帰って来た若党らも呼び出されて善の前にすわらされた。
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いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
清正は奥の座敷に入ると、改めて母に帰宅のあいさつをし、城内でことづけられた巻絹と真綿を渡し、
秀吉の母の言葉を伝えた。
大政所(秀吉の生母)

「ありがたいこと」
母はいただいて、脇に置き
「ほんに、いつの間にかご無沙汰してしまいました。気にはなっていましたが、留守をしていなさる
家中のおかみ様方のことを考えますと、縁者づらしてお城に上がるのが済まぬような気がしましての。
時々はあがらなければいけませんのう」
と言った。
「それはそうですとも。縁者の端に連なっているゆえ、ご隠居様にしても、御前様(秀吉夫人・ねね)
にしても、頼みに思うてくださるのです。殿様のお留守の間は、時々どころではない、出来るだけせ
っせと上がって、お慰めなさるべきであります。威張り高ぶる心さえなければ、家中の人々も悪う思
う筈はありません」
「そうだの、そうだの」
と、うなずきながらも、お沢は虎之介の成長をまた感じていた。
『立派なことを言うようになった。立派なことを言うようになった・・・』
心づくしの料理をならべて、祝宴がはじまった。
供をして帰って来た若党らも呼び出されて善の前にすわらされた。
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<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
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