加藤清正 Ⅱ その265
『一揆民?』
殿軍となった堀尾茂助隊と清正の隊が引き上げようとしているところに、朝霧の中からドッと鬨の声
がおこったかと思うと、銃声がはじけ、矢がびんびんと飛んできた。
清正くん

「すわこそ!」
2人は散会を命じ、おりしかせて、待ち受けた。
清正は片鎌の槍を杖づき、敵の様子を見ていると、次第に接近して来て、霧の幕の向こうに、影法師
のようにおぼろげに敵影が見えて来た。
どうやら、武士ではなく、徳川方の武士らに駆りもようされた郷民ばらの一揆であるようであった。
しかし、はっきりとはわからない。
清正は側にいる飯田覚兵衛を呼んだ。
「ご用は」
覚兵衛はひげの濃い、目の鋭い、体格雄偉な、いかにも強そうな30男です。
清正は
「霧にさえぎられて、よくわからぬが、おれの目には、郷民の一揆勢のように見えるが、そちはどう
見る」
と、敵の方を指した。
覚兵衛は太い眉の下の目をしずめて敵の方を凝視していたが、
「拙者もそのように見えますが、念のために行って見てまいりますべ」
と言うや、敵陣目がけてダッと走りだした。
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いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
殿軍となった堀尾茂助隊と清正の隊が引き上げようとしているところに、朝霧の中からドッと鬨の声
がおこったかと思うと、銃声がはじけ、矢がびんびんと飛んできた。
清正くん

「すわこそ!」
2人は散会を命じ、おりしかせて、待ち受けた。
清正は片鎌の槍を杖づき、敵の様子を見ていると、次第に接近して来て、霧の幕の向こうに、影法師
のようにおぼろげに敵影が見えて来た。
どうやら、武士ではなく、徳川方の武士らに駆りもようされた郷民ばらの一揆であるようであった。
しかし、はっきりとはわからない。
清正は側にいる飯田覚兵衛を呼んだ。
「ご用は」
覚兵衛はひげの濃い、目の鋭い、体格雄偉な、いかにも強そうな30男です。
清正は
「霧にさえぎられて、よくわからぬが、おれの目には、郷民の一揆勢のように見えるが、そちはどう
見る」
と、敵の方を指した。
覚兵衛は太い眉の下の目をしずめて敵の方を凝視していたが、
「拙者もそのように見えますが、念のために行って見てまいりますべ」
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<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
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