加藤清正 Ⅱ その267
『清正の計略』
清正は走り出て迎えた。
「無茶をする!」
とどなると、覚兵衛のひげ面はにやりと笑って、言った。
加藤清正(1562ー1611年)

「殿のおめがね通り、郷民でござる。いたしようがありましょうか」
よい家来だ、勇気といい、知恵といい、得難い家来だ、よくぞおれのような小身者に仕えてくれると、
胸が熱くなったが、
「む」
とだけ言って頷いて、堀尾に言った。
「聞かれるとおり、郷民にまぎれない由でござる。郷民の一揆勢は威力に駆り立てられ、欲とふたり
連れで出て来た者でありますれば、とりとめた勇気はない筈であります。激しく鉄砲を撃ち立て、煙
の下から槍をそろえて突き立てれば、ひとたまりもなく崩れ立は必定と存じます。両隊合してやろう
ではございませんか」
うなずいた。
「よかろう」
自分の隊に帰り、突撃の形に立て直した。
両隊揃って、弓も鉄砲も放たず、じわじわと近づいて行く。敵は矢玉を射放ったが、かまわずなお進
み、敵の姿がはっきり見えるところまで来て、一斉に鉄砲を放った。
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いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
清正は走り出て迎えた。
「無茶をする!」
とどなると、覚兵衛のひげ面はにやりと笑って、言った。
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「殿のおめがね通り、郷民でござる。いたしようがありましょうか」
よい家来だ、勇気といい、知恵といい、得難い家来だ、よくぞおれのような小身者に仕えてくれると、
胸が熱くなったが、
「む」
とだけ言って頷いて、堀尾に言った。
「聞かれるとおり、郷民にまぎれない由でござる。郷民の一揆勢は威力に駆り立てられ、欲とふたり
連れで出て来た者でありますれば、とりとめた勇気はない筈であります。激しく鉄砲を撃ち立て、煙
の下から槍をそろえて突き立てれば、ひとたまりもなく崩れ立は必定と存じます。両隊合してやろう
ではございませんか」
うなずいた。
「よかろう」
自分の隊に帰り、突撃の形に立て直した。
両隊揃って、弓も鉄砲も放たず、じわじわと近づいて行く。敵は矢玉を射放ったが、かまわずなお進
み、敵の姿がはっきり見えるところまで来て、一斉に鉄砲を放った。
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