加藤清正 Ⅱ その323
『清正勢の奮戦』
夜が明けて、定めの時刻になると、清正は井桜(せいろう)に上り、自ら貝を吹き立て
「かかれ、かかれ!」
と雷のような声で指図した。
本戸(本渡)城址

清正勢は城の押し寄せ、ひたひたと屏にとりつくこと蟻のようであった。
森本儀太夫、鵤平次、飯田覚兵衛、柏原左馬助、奥田九右衛門、木村又蔵らの勇士をはじめとして、
真っ黒にとりついて、エイ、エイ、エイと声を上げて、上って行く。
城方では槍の柄を差し伸べ、太刀、薙刀を振って防ぐ。
もちろん、大石や材木を投げ下ろす。さすがの勇士らもひるんで見えた。
清正は采配を抜き取り、井桜の窓から身を乗り出し
「それーっ!」
と雷のように大喝して打振った。
これが合図で、前もってひと固まりになって構えていた鉄砲隊が、百数十挺の鉄砲を揃えて、ドッと
撃ち立てた。
屏の上に半身を現わして防戦していた敵は、バタバタと欠け落ちた。
弾丸をのがれた者も、恐れて引込んだ。
「それーっ!」
とまた采配をふると、別手の者がどっと走り出し、塀にとりついて、掛け声勇ましくよじ登り始めた。
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いつもありがとうございます。

<参考文献:海音寺潮五郎「加藤清正」>
夜が明けて、定めの時刻になると、清正は井桜(せいろう)に上り、自ら貝を吹き立て
「かかれ、かかれ!」
と雷のような声で指図した。
本戸(本渡)城址

清正勢は城の押し寄せ、ひたひたと屏にとりつくこと蟻のようであった。
森本儀太夫、鵤平次、飯田覚兵衛、柏原左馬助、奥田九右衛門、木村又蔵らの勇士をはじめとして、
真っ黒にとりついて、エイ、エイ、エイと声を上げて、上って行く。
城方では槍の柄を差し伸べ、太刀、薙刀を振って防ぐ。
もちろん、大石や材木を投げ下ろす。さすがの勇士らもひるんで見えた。
清正は采配を抜き取り、井桜の窓から身を乗り出し
「それーっ!」
と雷のように大喝して打振った。
これが合図で、前もってひと固まりになって構えていた鉄砲隊が、百数十挺の鉄砲を揃えて、ドッと
撃ち立てた。
屏の上に半身を現わして防戦していた敵は、バタバタと欠け落ちた。
弾丸をのがれた者も、恐れて引込んだ。
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とまた采配をふると、別手の者がどっと走り出し、塀にとりついて、掛け声勇ましくよじ登り始めた。
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